「PLAY!香港コミックス巡回展」レポート(1)

Google+ Pinterest LinkedIn Tumblr +

次の記事を読む:「PLAY!香港コミックス巡回展」レポート(2)


さる11月8日~16日、東京・湯島「アーツ千代田3331」にて、おそらく日本初の本格的香港産漫画展覧会「PLAY!香港コミックス巡回展 HONG KONG COMIX TOURING EXHIBITION」が行われました。

香港は新しい行政長官・林鄭月娥氏の就任後、文化芸術振興に日本円換算で150億の予算がつきました。この振興活動の一環として、ブリュッセル・ヘルシンキ・東京・香港、世界4都市を巡回する地元産コミックの紹介展が企画されました。9月のベルギー・ブリュッセル、フィンランド・ヘルシンキに続く3ヶ所目が東京。主催のHONG KONG ART CENTRE(香港藝術中心)は地元コミックの紹介・交流・アーカイブを行う活動拠点「動漫基地 COMIX HOME BASE」の運営も行っています。

が、しかし…東京展の企画・運営は、東京在住の香港人スタッフ・Gorgon氏がたったひとりで行ったそうです。いきおい、広報・宣伝活動がおルスになってしまったようで……。

筆者も開催を知ったのは10日前! なにげなく見ていたツイッターで、フォロワーさんのひとりがなにげなく発したツイート、「東京で香港コミックの展覧会開催」。

きいてないよーーーー!!!

十数年前のダチョウ倶楽部が憑依したかのごとく筆者は部屋で絶叫しました。香港内外の漫画関係者とそれなりに交流を持っているつもりだったのに、なぜ誰も教えてくれなかったの! あとで聞きましたが地元香港でもほぼノンプロモーション状態だったようです。

まずは気を取り直し、香港藝術中心に詳細をたずね、宣材をもらい、Comic Streetをはじめ思いつく限りの関係先に連絡し、筆者経営「香港漫画店」のお客様にメルマガ告知し、祝い花を手配し(漫画家でお花屋さんも兼営しておられる小杉あやさんにお願いしました)、とにかく10日間で精一杯、勝手にお迎えする準備を整えました。協力も協賛もしていないのに。

お祝い花。歓迎日本!

会場の「アーツ千代田3331」はもと中学校だった建物をアート&コミュニティスペースに転用したものだそうです。

エントランス。キッズ向けスペースが奥にあるため親子連れの姿も

1階コミュニティスペース入口。採光抜群

場内

11月8日(水)夕刻、オープニング・レセプションが行われました。

会場には「動漫基地」館長で当企画総合ディレクター・林淑儀=コニー・ラム氏、ゲスト漫画家の司徒劍僑=アンディ・シト氏、黎達達榮=ライ・タッタッウィン氏、阿塗=アトウ氏が勢揃い。レセプションは、後日のトークショーでも通訳&司会を務めるライアン・ホームバーグ氏がGordon氏とともに進行します。ライアン氏はアジア漫画の世界への紹介・発信者として名高く、文化資源学研究者として東京大学で教鞭もとっておられます。

参加の漫画家さんはひとことずつ「影響を受けた日本漫画」について語ります。黎達達榮氏は「ドラえもん」、手塚治虫作品。阿塗氏は「ドラゴンボール」、やはり手塚作品。そして司徒劍僑氏は「私はもっぱらアニメ。最初に『コン・バトラーV』、次にガンダムに夢中。共通して関わっていた安彦良和さんの漫画を見つけ、読むようになった」とのことでした。

コニー・ラムさん。キュートで敏腕

左から漫画家・黎達達榮氏、阿塗氏、レセプション進行のライアン・ホームバーグ氏、 漫画家・司徒劍僑氏。和気あいあい

香港経済貿易代表部の東京支部長・副支部長をはじめ、関係者がとにかく大勢つめかけています。一般公開もしているのに、どう考えても関係者のほうが多い! こんな状態が会期末まで続いていました。

しかしそんなことを気にしている間はありませんでした。筆者は会場の展示物にすっかり目を奪われてしまいました。

「香港コミック 60年の歴史を振り返る」という主旨の展覧会で、1960年代・70年代・80年代・90年代・2000年代・2010年以降と、6つのボードに分かれて解説・展示が行われています。

 

展覧室全景

ほかにゲスト3漫画家の原画や著作紹介コーナー、概説&海外交流紹介コーナーも。日・英併記の解説ボードの下に、実際に地元で流通した漫画本が展示され、閲覧も自由です。これが珍品揃い!

1960年代の元祖少女漫画「13點」、超長寿ギャグ漫画「老夫子」。70年代コーナーには「李小龍」、90年代コーナーには、「FEEL100%」の筆者・劉雲傑のプレヒット青春漫画「段段情濃」、不条理漫画家の王・利志達の「黒侠」…どれも当時の薄装本で並んでいます。筆者が14年間通い続け、探し続けてまったく姿を見ることのなかったツチノコ級のまぼろし絶品ばかり。

年代別解説ボード。1980年代は馬榮成氏の作品が中心

上官小寶「李小龍」。70年代初期の薄装本

利志達「黒侠」薄装本第5巻(1992年)

えっ!? これ、さわっていいの? 読んでいいの? 地元ならガラスケース入りで博物館展示級の代物ですよ? 信じられない思いです。

このほか名作・人気作を集めた閲覧テーブル、著名漫画家多数による大型イラストパネルコーナー(ほとんどが描き下ろしとみられる)、充実のコミック・グッズ即売もありました。

大判イラストパネル。こちらはアルフォンソ・ラム氏/画

閲覧コーナー。自主制作作品から週刊薄装本まで幅広く設置

即売コーナー。近年のヒット漫画の中でも、質の高いものばかり

次回に続きます。


次の記事を読む:「PLAY!香港コミックス巡回展」レポート(2)

About Author

てんしゅ松田

インターネット通販ショップ「香港漫画店」店主。東京外国語大学中国語学科卒業後、レコードメーカー等勤務を経て2003年にショップ開店、香港現地産コミックを輸入販売。近年は香港コミック・おたく事情の紹介活動にも力を入れており、ミニコミ誌「マンガ論争」寄稿、トークライブハウス「ネイキッドロフト」等出演も。共著「深く美しき香港漫画の世界」は、自費出版ながら中華書籍専門店「東方書店」(東京・神保町)月間ベストセラー第3位ランクイン。

Leave A Reply