「海外マンガフェスタ2018」レポート(2)

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茨城大学人文社会科学部「視覚表現論(H30)」(担当教員:猪俣紀子)を受講する大学生チームがお送りする「海外マンガフェスタ2018」レポート。第2弾となる今回は、メインステージで行われていたイベントと会場中央付近のさまざまな企業や団体が出展するCompany and Instituteエリアについて紹介します。

Companyand Instituteエリアの様子

キム・ジョンギさんによるライブドローイング

12時から13時までの間、メインステージではDNP FUN’S PROJECTによるキム・ジョンギさんのライブドローイングが催されました。

DNP FUN’SPROJECTでは、アニメやマンガ、ゲームなどの日本が誇るコンテンツの魅力を発信し、クリエイターや業界とファンをつなぐサービスを提供しています。

また、関連サービスとして、クリエイターを目指す人向けの「COLLEGE」というオンライン動画学習サービスがあります。

今回のテーマは、DNP FUN’S PROJECTの公式キャラクターであるファンズちゃんでした。キムさんは「このキャラクターは初めて見ましたが、できるだけかわいく 描くよう努力したいと思います。かわいく描くのは苦手ですが。」とコメントし、真っ白なキャンバスにファンズちゃんを描き始めました。

キム・ジョンギさんによるライブドローイングの様子

キムさんは、下書きをせずに直接ペンで絵を描いていきました。使うのはぺんてる製の筆ペンで、様々な会社のものを試してみた中で1番自分に合っているそう。大きな絵でも小さな絵でもこのペン1本で描きあげ、指の腹でインクをこすり、絵に明暗をつけていると説明していました 。

キムさんは絵を描きながら、司会者や観客からの質問に答えていきました 。その中で特に印象に残ったものをいくつか紹介します。

最初に、いつ頃から下書きなしで描くようになったのか、という質問がありました。これに対してキムさんは、もともとは自分も鉛筆でディテールまで下書きをしていたが、何年か前に偶然下書きなしで描くことができ、それから直接筆ペンで描くようになったと答えました。また、たくさん描くことも重要ですが、構成や状態などをしっかり理解することも大事だと思いますと付け加えました。

次に、子供のころに影響を受けた作品は何か、という質問がありました。キムさんはスケッチブックの表紙に描かれていた鳥山明先生の作品「Dr.スランプ」のアラレちゃんの絵を見て、このような絵を描くにはどのような職業になればいいか周りに聞いたところ、漫画家だと教えてもらい、幼い時から漫画家になることが夢であったと答えました。

また、絵は最初に全体の構造をイメージしてから描き始めるのか、それとも描き進めるうちにイメージをふくらませていくのか、という質問がありました。キムさんは、その両方を組み合わせて作品を描いているそうです。描き始める時に6、7割程度の構図を決め、描いているうちに浮かび上がったイメージを付け加えると答えました。

さらに、下書きなしで失敗しないのかという質問に対しては、今も描いていてミスをしているが何となく乗り越えていると答えており、1時間内で完成された絵は、素人目にはミスなど全く分からないほど綿密に書き込まれており、また躍動感も感じられる ものでした。下書きなしでキャンバスに直接描かれていく様子には、思わず目を奪われてしまいました。

質問を通して、バイクに乗ることが好きなこと、昔飼っていた猫や奥様を作品に登場させたことなど、作品だけでなくキムさんの人となりについても知ることができ非常に楽しむことができました。ブースには立ち見客が出るほど、盛況なイベントとなっていました 。

ライブドローイングを見に集まるお客さんたち

紀伊國屋書店さんへの突撃インタビュー

次に私たちが訪れたのは、企業や団体が出展するエリアであるCompany and Instituteです 。このエリアでは今年、国内外問わず12の企業や団体が出展し会場を盛り上げていました。その中でも私たちは紀伊國屋書店の店長さんにインタビューしました。ここではその内容についてお話ししたいと思います。

紀伊國屋書店 さんは4、5年前に海外マンガフェスタ の主催者の方から声をかけてもらったことがきっかけで、出展を始めたとのこと。紀伊國屋書店さんが海外店で出張販売していたことを知った主催者から「海外でマンガを売り出しているなら、日本で行われる海外マンガフェスタに『本屋さん』として出展するのはどうか」と提案され、快諾したそうです。

紀伊國屋書店のブース

海外での出張販売についてさらに聞いてみたところ、このことについても快く答えてくださいました。ちなみに、出張販売とは消費者が集まるような場所に出向き、商品の効能や品質、使い方などの説明をして販売する方法です。その出張販売で主に売り出しているのは日本の作品だそうです。アメリカでは英訳版がありますが、フランス、スペインなど多くの国に対応しようとするとすべての翻訳版を出版することは難しいとのことです。とは言っても、日本のマンガ技術は世界から評価されていて需要があるそうです。そんなこともあって、海外では日本のマンガだけでなく、翻訳のいらないアート集も人気になっているそうです。

このブースを訪問し話を聞いたことで、紀伊國屋書店さんが海外漫画フェスタに出展したきっかけや、日本のマンガ技術の素晴らしさを改めて感じることができました。

インスティトゥト・セルバンテス東京ブースでスペインのマンガ文化に触れる 

私たちが最後に訪れたのは、インスティトゥト・セルバンテス東京のブースです。インスティトゥト・セルバンテス東京は、スペイン語の振興と教育及びスペイン語圏文化の普及を目的として設立された施設であり、今回は次の日に同施設で行われるイベントの宣伝も兼ねて出展されていました。

こちらのブースでは、インスティトゥト・セルバンテス東京所蔵のスペインの漫画やグラフィック・ノベルが展示されていました。

スペインで人気なマンガの数々

私たちは、館長のビクトル・ウガルテ・ファレロンスさん(以下ビクトル館長)と、スペインの漫画家ケニー・ルイスさんのお2人に、通訳の方を介して話を聞くことができました。

まず、ビクトル館長から施設で行われるイベントの概要を聞きました。イベントは海外マンガフェスタの次の日である11月26日に、“日本の漫画とスペインのコミック:手塚治虫と漫画誌『テヅコミ』を巡り出会う2つの世界。”と題して開催されました。新しく誕生した漫画誌『テヅコミ』のコミックアーティストたちを招き対談が行われ、手塚治虫が残した作品や、スペインと日本の漫画についての議論が展開されました(イベントは既に終了しています)。

概要の説明後、このイベントの案内が書かれたカードをいただきました。そこには今回インタビューに応じてくださり、対談にも参加されたケニー・ルイスさんが描いた「孫悟空 猫の巻」イラストが掲載されていました。

いただいたポストカード

次に、そのケニー・ルイスさんにスペインのマンガ文化についてインタビューしました。

スペインでマンガを読む人の年齢については、だいたい10代前半から30代半ばの人が多く、日本と比べてしまうと、それほどポピュラーなものではないとのことでした。

スペインではどういったマンガが読まれるか、という質問をしたところ、翻訳された日本のマンガは子どもに多く読まれ、ヨーロッパマンガは大人に読まれるといった印象があるとのことでした。また、日本のように何巻にも渡りマンガが続くようなことは珍しく、雑誌連載されるのではなく、完結した単行本が刊行されるようです。そういった背景から、「年に1冊出せれば良いほうだ」とも言っていました。

日本ではマンガは老若男女に読まれている印象がありますが、どうやらスペインではもっぱら若い世代の娯楽で、日本ほどにはポピュラーでないようです。今回のインタビューを通じて、今まで知らなかったスペインのマンガ文化の一面を垣間見ることができました。インスティトゥト・セルバンテス東京では、スペイン語やスペイン語文化全般にとどまらず、今回のようにマンガ文化の普及も行っているようですので、興味がおありの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

(AA、HS、HA、RA、KI、HI、SO、KM)


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About Author

茨城大学「視覚表現論(H30)」

茨城大学人文社会科学部の開講する平成30年度「視覚表現論」(担当教員:猪俣紀子)の受講生。3、4年生29名。バンド・デシネ作品の邦訳作品を読んで発表するなど、授業の中で海外マンガを取り扱っている。

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