「海外マンガフェスタ2017」レポート(5)

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茨城大学人文社会科学部「視覚表現論(H29)」(担当教員:猪俣紀子)を受講する大学生チームがお送りする「海外マンガフェスタ2017」レポート。最終回となる今回も、引き続き個性豊かなArtist Alley(アーティストアレイ)について紹介していきます。今回筆者が回ったのは、海外マンガフェスタレポート(4)で回り切れていない、アーティストアレイの残り半分のブースです。今回も何人かの出展者の方にお話をうかがいました。

様々な国籍の方が出展しているアーティストアレイ

Moemai(モエマイ)さん

最初に目に留まったのは、赤と黒の色彩が鮮やかなモエマイさんの作品。モエマイさんはフランスでマンガ家として活躍なさっています。

お話を伺ってみると、モエマイさんは昔からイラストを描くのが好きだったそう。そんな中で、日本マンガに影響を受け現在のような作風になりました。モエマイさんのイラストの特徴とも言えるのが、赤と黒の色彩。これは、モエマイさんの中での日本のイメージカラーだそうです。この日は黄色の服でしたが、普段イベントに出展するときはご自身も赤や黒の服を着て臨むことが多いそうです。

昔、ワーキングホリデーで日本に住んでいたことがあるそうで、通訳を介さずお話させていただくことができるほど日本語がお上手でした。2012年以来、2回目となる海外マンガフェスタでの出展を存分に楽しんでいらっしゃいました。

モエマイさんのブース

モエマイさんのお仕事はこちらでご覧いただけます。

Harmony Becker(ハーモニー・ベッカー)さん

モエマイさんのお隣に目を移してみると、かわいらしい作品がたくさん並べられているブースが。出展者はハーモニー・ベッカーさん。

ハーモニー・ベッカーさんは、アメリカと日本のハーフだそうで、日本語がとてもお上手でした。基本的にはアメリカにお住まいで、日本を訪れるのは今回で5回目とのこと。ハーモニー・ベッカーさんがイラストに触れ合うようになったきっかけは、父は油絵、兄はアニメーション作成をたしなむ芸術一家という、家族の影響があったからだそうです。

そんなハーモニー・ベッカーさんがイラストを描く際に心がけていることは、繊細な感情や言葉にできないことをどれほどイラストに乗せることができるかどうか。今回の出展のイチオシ作品である最新作『ひまわりシェア』はそのこだわりが前面に出た、優しさあふれる作品となっています。また、英語と日本語両方の表記を使用し、英語圏と日本語圏どちらの方も手に取りやすいようになっていました。

ハーモニー・ベッカーさんのブース

ハーモニー・ベッカーさんのお仕事はこちらでご覧いただけます。

Reima Makinen(レイマ・マキネン) with さんま雲さん

アーティストアレイを歩いているとひと際大きなブースが。レイマ・マキネン with さんま雲さんのブースです。作品を出展しているレイマ・マキネンさんは、プロの作家として長いキャリアを持っているとのこと。自身のコミックアルバムはもちろんのことコミックの描き方教本も出版しています。また、プロコミック作家協会の役員を務めるなどフィンランドコミック文化の発展にも貢献しています。一方、さんま雲というのは日本とフィンランドを、マンガを通じて繋げようと活動を行っている国際マンガサークルのことです。

レイマ・マキネンさん(左)とさんま雲の運営の方(右)

さんま雲の詳細はこちらでご覧いただけます。

レイマ・マキネンさんの作品は、コミカルなものから、リアルな歴史ものまで、作品の雰囲気のヴァリエーションが多様なのが印象的です。

イラストを描くレイマ・マキネンさん

さんま雲の運営の方にも少しお話をうかがいました。サークル内でストーリーの企画を立ち上げて、世界各地で作者を募るスタイルでマンガを制作されています。ぜひ日本の出版社での刊行を!と、とても熱い思いをお持ちでいることが分かりました。

続いて、メインステージで行われていたこの日最後のイベント、アメリカン・コミックス作家のDavid Mack (デビッド・マック)さんによるライブドローイングに向かいました。

左からデビッド・マックさん、通訳、司会者のお二人

用意された大きなモニターにデビッドさんの手元が映し出され、司会者が彼を紹介したり、描いている絵にコメントしたりする傍らで、用意された紙にデビッドさんが次々と絵を描いていくという形でイベントは進行しました。1色のインクと毛筆で絵を描くというスタイルのマックさん。彼はなんと1時間ほどのイベントの中で10枚近くの絵を描き上げ、司会者や観客を驚かせました。描かれた絵は、バットマンやデアデビルなどアメリカン・コミックスの人気キャラクターからご自身の作品のキャラクターまで様々でした。途中、司会者の女性のワンピースに描かれていた猫を描いてみせるなどほっこりとする場面もありました。普段から様々なものを見て描く練習を欠かさないというマックさんの、その姿勢が垣間見えました。

中盤以降は観客からの質問を受け付け、通訳の方を通してマックさんが答えるという場面もありました。直接ご本人に質問できる貴重な機会ということもあってか、何人もの人が様々な質問をし、マックさんは絵を描く手を止めて真摯に聞き入り答えていました。実は日本や中国の書道を勉強していたことがあるというマックさん。「現在も筆を使って描くスタイルを貫いているが、そのきっかけは何だったのか」という質問に対し、「中国人の友人が持っていた紙や筆に興味を持ったこと」と答え、「今の筆を使うスタイルは自分に合っている」と語りました。

ちょうど時間になったところで、イベントは終了。最後に、マックさん、通訳の方、司会者のお二人がステージ上に並んで写真撮影を行い、イベントは和やかに幕を閉じました。

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全5回でお届けした「海外マンガフェスタ2017」レポートも今回で終了です。レポートの中で取り上げることができなかったブースもありましたが、その全体像を、なんとなくではあれ、お伝えできたのではないかと思います。筆者たち一同、海外マンガフェスタを通じて、世界のマンガの多様性の一端に触れることができて勉強になりました。まだ海外マンガフェスタに参加したことがない方がいれば、ぜひ来年は参加してみてください。

(執筆:MA、MK)


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About Author

茨城大学「視覚表現論(H29)」

茨城大学人文社会科学部の開講する平成29年度「視覚表現論」(担当教員:猪俣紀子)の受講生。3、4年生23名。バンド・デシネ作品の邦訳作品を読んで発表するなど、授業の中で海外マンガを取り扱っている。

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