海外コミック読書ガイド:第3回「政治編」レポート

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今回は6月30日(土)、そごう千葉店JUNNU館3Fにある16の小さな専門書店で開催された、「海外コミック読書ガイド」の第3回トークイベントにお邪魔して来たので、イベントの内容をレポートいたします。

イベントの当日、
入場者用に設置されていた看板
写真:古賀 詩穂子
(エディトリアル・ジェットセット)

日時:2018年6月30日(土)15時~17時
会場:16の小さな専門書店内 シアター駒鳥座(そごう千葉ジュンヌ館3F)

海外コミック読書ガイドは海外コミックを読んでみたい人に向けて設けられたイベントで、現在のところ二ヵ月に一度のペースで定期的に開催されています。

会場のシアター駒鳥座の入り口

イベント当日は書店内にある「シアター駒鳥座」と呼ばれるミニシアターがイベント会場として解放され、店内の特設コーナーにはイベントに関連した海外コミックの作品が手に取りやすい形で並べられていました。

書店の特設コーナーに並べられる、
今回取り上げられた海外コミックの一部

出演者はイベントの司会を務める16の小さな専門書店の店長である鈴木毅さんと、前回から引き続き海外のコミックの翻訳者である、椎名ゆかりさんと原正人さん。そして今回は『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』の編集を務めながら同時に翻訳も担当された山口侑紀さんがゲストとして加わり、会場は前回にもまして賑やかなムードに包まれていました。

鈴木毅さん(左)山口侑紀さん(中央左)
原正人さん(中央右)椎名ゆかりさん(右)

先に開催された第二回海外コミック読書ガイドでは「海外コミックで学ぶ世界の見方」というテーマでたくさんの海外コミック作品が紹介されました。その時にいくつかのカテゴリーに分けて急ぎ足で紹介したの中から、今回は「政治」のカテゴリーに焦点を絞った内容になりました。

海外コミック読書ガイド、
第三回のテーマは「政治」

イベントが始まるとまず日本のマンガ、バンドデシネ、アメリカのコミックスには政治を題材にしたどんな作品があるのか四人の間で大枠が語られ、いくつかの具体例が挙げられました。続いてそれら一つ一つの作品についてより作品の内容に踏み込んだ深い考察が行われました。

デニス・オニール、ニール・アダムス作
『グリーンランタン/グリーンアロー』

最初に取り上げられた作品は、中国生まれの作者が自らの人生とその当時の中国社会を振り返る『チャイニーズ・ライフ――激動の中国を生きたある中国人画家の物語』。大躍進政策、文化大革命などの激動の時代の中ですごした少年時代を描いた上巻『「父の時代」から「党の時代」へ』と、驚異的な経済発展の中で価値観がめまぐるしく移り変わる現代を描いた下巻『「党の時代」から「金の時代」へ』の2冊で構成された作品です。

李昆武、フィリップ・オティエ作
『チャイニーズ・ライフ――激動の中国を生きたある中国人画家の物語』

続いて紹介されたのが『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』1980年代韓国の民主化闘争を描いた作品で、現代日本の政治状況と照らし合わせながら様々なアプローチで語られました。また話の中では同時代の韓国を描いた『タクシー運転手 約束は海を越えて』や『サニー 永遠の仲間たち』といった読書をより楽しくする近年の韓国映画も話題に上りました。

チェ・ギュソク作
『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』

ここでイベントの前半が終了。一旦休憩を挟んでからのイベント後半では、最初に『MARCH』が紹介されました。公民権運動の当事者であったジョン・ルイス(ビッグ・シックスの一人、現ジョージア州選出米国下院議員)の目線から、当時のアメリカの公民権運動を描いた作品で、『1 非暴力の闘い』『2 ワシントン大行進』『3 セルマ 勝利をわれらに』の三冊で構成されています。同書は全米図書賞(児童文学部門)やウィル・アイズナー賞などを多数受賞、全米で評判になった作品です。

ジョン・ルイス 、アンドリュー・アイディン、ネイト・パウエル作 『MARCH』

そして最後の作品は『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』。東西冷戦時代、東ドイツに労働者としてやって来たモザンビーク人の人生をとりあげた作品です。ゲストの山口侑紀さんが翻訳された作品で、翻訳者本人から制作の裏側を含めて楽しい話が展開しました。さらに作者のビルギット・ヴァイエさんの最新作『German Calender No December』なども実際の本を用いて紹介され、会場に来ていた参加者からも多くの関心を集めていました

ビルギット・ヴァイエ作
『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』

イベントの締めは来場者に向けての質疑応答が行われ、登壇者の四人と活発な意見交換が行われました。最後に次回開催の第四回海外コミック読書ガイドでは「戦争」がテーマになることが発表されました。興味がおありの方は次回イベントに足を運んでみてはいかがでしょうか?

写真:古賀 詩穂子(エディトリアル・ジェットセット)


トークイベント《海外コミック読書ガイド第4回》 戦争編
日時:2018年8月25日(土)15時~17時
会場:16の小さな専門書店内 シアター駒鳥座(そごう千葉ジュンヌ館3F)
料金:参加無料
定員:30名
※リンク先のページから要予約

About Author

うしおだ きょうじ

フリーのイラストレーター、一方でライター業などイラスト以外の仕事も多い。 新旧問わずマンガと名のつくものは大体好きで、マンガを読むのと散歩が日課。 海外のマンガとは何かと縁があって、子供の頃から良い付き合いをさせてもらっている。 ペット、引っ越し、ランニング、この3つの内どれか1つくらい何とかしたいと5年ほど前から計画中。 だけど計画するだけ。

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