アングレーム国際漫画フェスティバル2018各賞発表

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2018年1月25日(木)から28日(日)にかけて、フランスの地方都市アングレームで、毎年恒例の「アングレーム国際漫画フェスティバル(Festival International de la bande dessinée Angoulême)」が行なわれました。同フェスティバルが始まったのは1974年。当初は「国際漫画展(Salon international de la bande dessinée)」という名前でした。それから連綿と続き、今年はなんと45回目。イタリアのルッカで行われている「ルッカ・コミックス&ゲームス(Lucca Comics and Games)」と並んで、歴史的にも規模的にもヨーロッパを代表するマンガの祭典です。
※アングレーム国際漫画フェスティバルの歴史については、コンパクトにまとまったPDFを以下からダウンロードすることができます(フランス語)。

毎年、アングレーム国際漫画フェスティバル開催期間中(1月末の3~4日間)は、アングレームの町全体を会場に、展示やトーク、物販、ワークショップ、ライブドローイング、サイン会、コンサートなど、マンガにまつわる大小さまざまなイベントが開催されます。中でも今年は、日仏友好160周年であると同時に、明治元年から150周年ということもあって、手塚治虫展、浦沢直樹展、真島ヒロ展と、日本のマンガに関する大きな展示が3つも開催されるなど、日本人にとっても注目すべき回となりました。

アングレーム国際漫画フェスティバルの大きな呼び物のひとつに、毎年発表されるさまざまな賞があります。まずは、毎年ひとりの作家のキャリア全体を顕彰する形で与えられるグランプリ。それから、対象期間中に出版された作品に対して与えられる各賞。この各賞は、何度か呼び名が変わっているのですが、2008年以降は、バンド・デシネ作家のルイス・トロンダイムがデザインしたマスコットに基づき、「フォーヴ(Fauve=“野獣”の意)」と呼ばれています。カンヌ国際映画祭の最高賞は、”金のシュロ”をかたどった「パルム・ドール」ですが、それと同じように、アングレームの最優秀作品賞は、「フォーヴ・ドール(=金の野獣)」と呼ばれます。

ここでは、第45回アングレーム国際漫画フェスティバルの各賞をご紹介したいと思います。なお、受賞作にはフランス語以外の外国語からのフランス語訳が含まれていますが、出版社と出版年はフランス語版の情報です。作者名と作品タイトルには仮の日本語訳をあてておきます。

グランプリ(Grand Prix)

リチャード・コーベン(Richard Corben)

『デン(Den)』などで知られるアメリカのコミックス作家。アメリカ人作家がアングレームのグランプリを受賞するのは、2011年のアート・スピーゲルマン(Art Spiegelman)、2014年のビル・ワターソン(Bill Watterson)に続いて3人目。今年は、1341人の作家たちの投票によってグランプリが決定したそうです。

最優秀作品賞(Prix du meilleur album)=フォーヴ・ドール(金の野獣/Fauve d’or)

ジェレミー・モロー『グリムルのサーガ』(Jérémie Moreau, La Saga de Grimr, Delcourt, 2017)

ノミネート作一覧はこちら

キュルチュラ読者賞(Prix du Public Cultura)

マリオン・モンテーニュ『トマ・ペスケの宇宙服の中』(Marion Montaigne, Dans la comibi de Thomas Pesquet, Dargaud, 2017)

「キュルチュラ読者賞」のノミネート作品一覧はこちら

審査員特別賞(Prix spécial du jury)

マリオン・ファヨル『宙づりの愛』(Marion Fayolle, Les Amours suspendues, Magnani, 2017)

シリーズ賞(Prix de la série)

サイモン・ハンゼルマン『メグとモグとアウル:ハッピー・ファッキン・バースデイ』(Simon Hanselmann, Megg, Mogg & Howl-Happy Fucking Birthday, Misma, 2017)

ノミネート作一覧はこちら

新人賞(Prix révélation)

ニック・ドルナーソ『ビヴァリー』(Nick Drnaso, Beverly, Presque Lune Editions, 2017)

ノミネート作一覧はこちら

子供向け作品賞(Prix Jeunesse)

ジュリア・ビエ、クレール・フォヴェル『カトリーヌの戦争(』Julia Billet, Claire Fauvel, La Guerre de Catherine, Rue de Sèvres, 2017)

「子供向け作品賞」ノミネート作一覧はこちら

遺産賞(Prix du Patrimoine)

楳図かずお『わたしは真悟』第1巻(Kazuo Umezu, Je suis Shingo, T1, Le Lézard Noir, 2017)

「遺産賞」ノミネート作一覧はこちら

フランス国鉄ミステリ賞(Fauve Polar SNCF)

フィリップ・ヴァレット『ジャン・ドゥーとフロッピーディスクの秘密』(Philippe Valette, Jean Doux et le mystère de la disquette molle, Delcourt, 2017)

「フランス国鉄ミステリ賞」ノミネート作はこちら

オルタナティヴBD賞(Prix de la BD alternative)

『ビヤン、ムッシュー』8号(Bien, Monsieur #8

上記各賞の受賞作一覧はこちらからご覧いただけます。他にも以下のような賞があります。

ルネ・ゴシニー賞(Prix René Goscinny)

ジャン・アランバ『カッパーヘッド作戦』(Jean Harambat, Opération Copperhead, Dargaud, 2017)

「ルネ・ゴシニー賞」は若手作家の原作(脚本)が優れた作品に対して与えられる賞です。

発見賞(Palmarès découvertes)

青少年やアマチュア、新人、子供向け作品に与えられる賞の総称で、「アングレーム学校賞」、「中学生賞」、高校生賞」、「BD学校コンクール賞」、「デジタル・チャレンジ賞」、「若き才能賞」など、さまざまな賞が設けられています。詳細はこちら

名誉賞(Fauve d’honneur)

浦沢直樹
真島ヒロ
※浦沢直樹は「フランス国鉄ミステリ名誉賞(Fauve Polar SNCF d’honneur)」も受賞

それから、アングレーム国際漫画フェスティバルの賞というわけではありませんが、日本の小西国際交流財団が主催する、日本のマンガのフランス語訳を対象に、優れた翻訳家に与えられる「漫画翻訳賞」の記念すべき第1回結果発表も、今回のアングレーム国際漫画フェスティバルの中で行われました。

漫画翻訳賞(Prix Konishi pour la traduction de manga japonais en français)

セバスチャン・リュドマン(Sébastien Ludmann)
野田サトル『ゴールデンカムイ』のフランス語訳(Satoru Noda, Golden Kamui, traduit par Sébastien Ludmann, Ki-oon, 2016-)に対して

以上、各賞を紹介しました。フランス語が読める方は、ぜひ受賞作を読んでみてください。

来年はどんな作品、作家が受賞するのでしょうか? 第46回となるアングレーム国際漫画フェスティバル2019は、2019年1月24日(木)から27日(日)にかけて行われる予定です。

About Author

原 正人

1974年静岡県生まれ。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳者。訳書にバスティアン・ヴィヴェス『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)、マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン&ケラスコエット『かわいい闇』(河出書房新社)など。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」主宰。もちろん日本のマンガも大好き。

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