「チェコ・コミックの100年展―100 Years of Czech Comics」訪問レポート

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2017年9月29日(金)から明治大学 米沢嘉博記念図書館で「~日本におけるチェコ文化年2017~チェコ・コミックの100年展」が開催されています。

「チェコ・コミックの100年展」ポスター

チェコ・アニメはよく聞きますが、チェコ・コミックとはいかに!? 実はいくつか日本語で読めるものもあるようですが、チェコのマンガの全貌については、これまで日本ではほとんど知られてこなかったのではないかと思います。今回はその知られざる世界について知るまさに好機。ということでさっそく訪問してきました。

会場の米沢嘉博記念図書館は、館の名前にもなっている故・米沢嘉博氏の蔵書を中心にしたマンガとサブカルチャーの専門図書館。JR御茶ノ水駅から徒歩7分、水道橋駅から徒歩8分、地下鉄神保町駅から徒歩8分の閑静な場所にあります。

明治大学 米沢嘉博記念図書館外観

米沢嘉博記念図書館ホームページ
開館時間とアクセスはこちらのページの中ほどを参照
※月・金(14:00-20:00)、土・日・祝(12:00-18:00)の開館なので、ご注意を

中に入ると、まず常設の展示があるのですが、その奥にある「チェコ・コミックの100年展」コーナーはこんな感じ。

「チェコ・コミックの100年展」全体像

こじんまりした感じに見えるかもしれませんが、どうしてどうして、なかなかの情報量です。というか、ほぼ未知の世界だということを考えると、これくらいに絞られていることがありがたい。

順路にしたがってご紹介していくと、まず、地図と年表が訪問客を迎えてくれます。チェコがどこにあるかわかってるようで案外わかっていないのは筆者だけではないはず。地図上で場所を確認しつつ、年表にざっと目を通します。さまざまな社会的動乱があって、国家のあり方が何度となく変わってきた国だけに、政治の影響を強く受けているのが、チェコ・コミックのひとつの特徴であるようです。

「チェコ・コミックの100年展」地図および年表

続いて、本展示の目玉であるチェコのコミック作家の原画展示。パヴェル・チェフという作家の原画が6点(内4点が本展のポスターにもなっている『ペピーク・ストシェハの大冒険』)額装されています。これが実に美しい! 筆者に一番馴染みのある海外マンガはフランス語圏のバンド・デシネですが、パヴェル・チェフの原画はとてもバンド・デシネ的な印象です。その中でも特にフレッド(Fred)という作家の『フィレモン(Philémon)』という作品を想起させるところがあります。『フィレモン』よりさらに繊細な感じでしょうか。これは一見の価値ありです。

パヴェル・チェフの原画

「チェコ・コミックの100年展」は、9月29日(金)から1月28日(日)までとわりと長い会期の展示なのですが、4期に分けて展示替えを行なうそうで、このパヴェル・チェフの原画が見られるのは10月23日(月)まで。ぜひそれまでに見に行くことをおすすめします。

会期の詳細は、「チェコ・コミックの100年展」特設ページにも明記されていますが、念のため、以下の通りです。

第1期:9月29日(金)-10月23日(月)
チェコ・コミックの現在(2000年以降)
─ チェコ・コミックの現状と魅力 ─

第2期:10月27日(金)-11月20日(月)
チェコ・コミック 1945年以前
─チェコ絵物語とコミックの誕生─

第3期:11月23日(木・祝)-12月11日(月)
チェコ・コミック 1945-2000年
─イデオロギーと監視下のチェコ・コミック─

第4期:12月15日(金)-2018年1月28日(日)
チェコ・コミックのメディアミックス
&チェコ・コミックの中の日本

それぞれの期では、今回のパヴェル・チェフのように、ある現代の作家に焦点を当てて原画を展示するとのこと。チェコ・コミックの顔とも言うべきこれらの作家の代表作も「原画出展作家コーナー」にまとめて展示されています。第3期でフィーチャーされることが決まっているルチエ・ロモヴァーの作品は結構フランス語になっていたりして、筆者は『DIVOŠI』(何て読むのかさっぱりわからん…)をフランス語版で読みました(フランス語版タイトルは『Les Sauvages』で、「野蛮人(たち)」の意)。

原画出展作家コーナー

原画を眺め終わると、チェコ・コミックの雑誌や単行本がズラリと展示されています。これを眺めているだけでも十分楽しい。実に多様な絵柄があることも確認できます。ちなみにここに並べられている本も期ごとに入れ替えを行なうとのこと。今回は、一番上の青いラベルを貼ってあるところが、原画を展示してあるパヴェル・チェフに関係した本で、その下の赤いラベルを貼ってあるところが、2000年に創刊された、現在のチェコ・コミックを代表する雑誌『AARGH!』と、それに関連した本とのことです。

ズラリと並んだチェコ・コミックの雑誌や単行本

会場では、こんな解説冊子ももらえちゃいます。中をめくると、全体解説と第1期の解説が収録されているので、期ごとに用意されるのでしょうか。日本語で簡単にアクセスできるチェコ・コミックについての本や雑誌特集がない以上、これはめちゃくちゃ貴重です。

とても勉強になる解説冊子

世界には知られざるかくも豊かなマンガがあるのだということを嫌というほど痛感させてくれる「チェコ・コミックの100年展」。あなたもぜひ全4期コンプリートして、日本ではほぼ手つかずのチェコ・コミックを先取りしてみてはいかがでしょうか? ひとまずパヴェル・チェフの原画が見られる10月23日(月)までにお越しになることを強くおすすめします。

About Author

原 正人

1974年静岡県生まれ。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳者。訳書にバスティアン・ヴィヴェス『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)、マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン&ケラスコエット『かわいい闇』(河出書房新社)など。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」主宰。もちろん日本のマンガも大好き。

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