海外マンガの人々―平柳竜樹さんインタビュー

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海外マンガの仕事に関わる人物を紹介する「海外マンガの人々」。第2回目は、Comic Streetのプロデューサー、デジタルカタパルト株式会社の平柳竜樹(ひらやなぎ・たつき)さんです。

いつも真面目に仕事をしています

平柳さんの肩書を教えてください。

デジタルカタパルト株式会社
取締役
営業本部長 兼 海外営業部長
です。

平柳竜樹さん

デジタルカタパルトとはどういった会社で、具体的にはどういったお仕事をしているのでしょう?

デジタルカタパルトは、2006年に設立された電子出版に関する総合サービス企業です。設立当初より、電子書籍ファイルの制作と電子コミックを販売する自社書店「ソク読み」の運営を中心に行ってきました。現在、「ソク読み」には100社を超える出版社から作品提供をいただき、電子コミックの総合書店として飛躍的な成長を遂げています。2010年頃からは、日本国内で様々な電子書籍ストアが出現したことに伴い、電子書籍の「取次」という仕事も当社の柱のひとつになりました。2013年からは共同印刷との協業関係を強化させ、プリプレス、印刷、電子書籍制作・配信をセットとする連携を、グループ内の人材交流を密にして、取り組んでいます。そして、2015年から新規事業開発の一環として海外事業を模索、現在に至ります。

私は、取締役として会社の経営に関わりつつ、営業本部長として国内と海外の両営業部を管理する立場ですが、海外事業の舵取りが仕事の大半を占めてます。その中で、海外コミックを翻訳電子出版させていただくプロジェクト「コミックカタパルト(Comic Catapult)」にも携わっています。

コミックカタパルトのロゴとコンセプト

現在、海外事業の中心は、翻訳出版権の仲介を行うブックエージェントとしての仕事です。その主な仕事は、海外の面白そうな本を見つけて、日本の出版社へ紹介したり、日本の作品を海外の様々な方に紹介することです。作家さんや編集さんの情熱を、国境を超えて届けるこの仕事は、自分にとっては天職を見つけたような気分でして、毎日楽しく仕事させていただいてます。

インドネシアの若手俳優さんたちと(現地コミック原作のTVドラマ現場)

また、海外コミックを日本語に翻訳して電子出版する「コミックカタパルト」プロジェクトを通して、海外のアーティストや編集者、そして日本国内の翻訳家の方々と出会いました。みなさん、お話をお聞きすると、すごく楽しいのですが、それが日本の方にあまり知られていないことが、もったいないと感じ、Comic Streetのような情報サイトを立ち上げたいなと考えるようになりました。ある日、フランス語の翻訳をされている原さん(原さんの紹介はこちら)から、すごく神妙な面持ち(笑)で受け取った提案書が、まさに私がやりたかったことそのもので、これは絶対に実現させようと、意気投合しました。その後は、毎月のようにミーティングを重ね、互いにアイディアを出し合い、企画を膨らませて来ました。

自分自身が楽しいと思う方たちと、楽しい話をいっぱいしたい。そして、その面白さをいろいろな方にもお伝えしたい。オフラインイベントとしては「世界のマンガについてゆるーく考える会」を、オンラインでは「Comic Street」を、そんな単純な発想で、はじめました。いずれも、ファンの方はもちろんのこと、プロフェッショナルの方たちにも見応えのある情報を提供していきたいと、目標は高く掲げ、運営していきますので、どうぞよろしくお願いします!

デジタルカタパルト株式会社 URL

コミックカタパルト 【公式サイト】

このお仕事に就くようになったきっかけは何でしょう?

デジタルカタパルトの電子配信事業であるソク読みが、小学館の公式サイトとして小学館のコミックスのみを提供していたのですが、ここに講談社や秋田書店など他の出版社からも作品提供いただく準備をしていました。これをサポートする目的で2009年から業務受託としてデジタルカタパルトの仕事に参加しました。やがて、マンガの電子配信という仕事がどんどん楽しくなってきました。技術的には、紙の印刷出版での体感をどうやってデジタルでも近付けることができるか、という議論なのですが、現場の営業としては、出版社の方々と一緒に新しいビジネスを立ち上げ、育成することそのものだったんです。偉大な先輩たちがたくさんいる歴史ある業界に、我々が一緒になって、また新しい歴史を創り出そうという実感がある仕事でした。そんな魅力に引き寄せられ、2010年にはこちらに転籍、2012年から取締役に就任させていただきました。その翌年以降、国内事業の黒字化を達成し、業界的にも電子書籍フォーマットの議論が落ち着いてきますと、取引先の国内出版社の方々からは、海外事業への思いを耳にする機会が自然と増えてきました。そうしたお話にご一緒させていただき、2015年頃から海外の出版社に訪れ、自分が得意な言語から、通訳のお手伝いをさせていただきました。いろいろと試行錯誤を繰り返し、日本の作品を海外の出版社や電子書籍ストアへ紹介するライセンス仲介の仕事が生まれ、海外出張の機会も増えました。

ブックフェアをはじめとした現地イベントは作品との出会いの場

そんな中で、世界各地のブックフェアや書店に訪れるたび、気になる現地作品と出会うことになります。これがコミックカタパルトをはじめたきっかけになります。

お仕事のどこにやりがいを感じていますか?

ブックエージェントの仕事では、「まさに今、こういう本を探していた!」と、出版社の方に言ってもらえるのが、一番嬉しいです。マネジメントを行う立場としては、未経験で入ってきた社員が、ある日たくましく成長していることに気づく瞬間が、たまらなく嬉しいです。

台湾漫画の紹介イベント(東京虎ノ門)を主催

何かのイベントで、「『ゆるーく考える会』、次回も楽しみにしてますよー♪」とお声がけいただくことも増えてきて、これもすごく励みになります。Comic Street を通して、また新たな出会いがあれば…楽しみです!

コミックカタパルトのラインナップを見ていると、アジアのマンガが目につきますが、その魅力とは何でしょう?

台湾、インドネシアの作品は、その土地ならではの文化や歴史を反映した作品を意識して集めています。作品の面白さだけでなく、作品に触れることで、仮想文化体験もできるようなレーベルを目指しています。

中東でも様々な出会いがありました

また、テレビのニュースを見ていると、国際関係が悪化した話ばかりが飛び込んでくるような印象があるのですが、世界各地のマンガ作品を通して、こうした風潮に対抗してバランスを取る助けにもなれればと思います。

海外ではレストランやバー巡りも楽しみ

今後の目標を教えてください。

既存のブックエージェントがやっていないこと、既存の出版社がやりきれていないこと、でも、絶対やったほうが良いよねーということを探して、チャレンジしてみたいです。出版を中心としたコンテンツビジネスにはまだまだ大きく成長する可能性があると思っています。全体像を描いた時、ぽかんと空いた小さなピースを埋めるような存在になりたいです。
そして、単純なビジネスとは別途、「ゆるーく考える会」のような、面白い人が面白いと感じていただける集まりも、できるだけ企画・育成していきたいと考えています。

About Author

平柳竜樹(TK)

1977年東京都豊島区生まれ。テレビ番組のナレーション、システム企業での新規事業立ち上げ、ベンチャー企業のスタートアップや事業再生のサポート業務を経て、2009年よりデジタルカタパルト株式会社に参加、2012年取締役就任。現在は、海外のブックフェアや出版社を巡る仕事が中心。一度、海外出張に出ると、なかなか日本に帰ってこないため、「マグロ漁船にでも乗ってるようですね。」と言われる。

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