海外マンガの人々―レイラ・スリマニさんインタビュー

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海外マンガの仕事に関わる人物を紹介する「海外マンガの人々」。今回ご紹介するのは、フランスとモロッコの国籍を持つ小説家・ジャーナリストで、『ヌヌ 完璧なベビーシッター』(松本百合子訳、集英社、2018年)で日本でも知られるレイラ・スリマニさん。なぜ小説家にインタビューをと思われるかもしれませんが、実はレイラ・スリマニさんの著書のひとつがバンド・デシネ化されているのです。レイラ・スリマニさんは11月末に来日される予定です。

レイラ・スリマニさん(Leïla Slimani)
Photo Catherine Hélie © Editions Gallimard

スリマニさん原作のバンド・デシネ『貞潔の言葉(Paroles d’honneur)』(作画:レティシア・コリン)はあいにくまだ日本語に翻訳されていません。どのような作品なのでしょうか?

『貞潔の言葉』は私の『性と嘘(Sexe et mensonges)』という本をバンド・デシネ化した作品です。私はその本で、若者からお年寄りまで、貧富、敬虔か不敬虔かに関わりなくさまざまな女性にインタビューし、彼女たちの性のあり方について話してもらいました。私たちはその本をもとに物語を作り、バンド・デシネにしたというわけです。

レイラ・スリマニ、レティシア・コリン『貞潔の言葉』(Leïla Slimani, Laetitia Coryn, Paroles d’honneur, Les Arènes, 2017)

レイラ・スリマニ『性と嘘―モロッコの性生活』(Leïla Slimani, Sexe et mensonges: La Vie sexuelle au Maroc, Les Arènes, 2017)

この企画はどのようにして生まれたのでしょう?

かなり早い時期から編集者のほうでこの女性たちの運命を描いた作品はバンド・デシネにしたら面白いんじゃないかという考えを持っていました。編集者が私にレティシアを紹介してくれたのですが、私はすぐに彼女と意気投合し、彼女の絵もとても気に入りました。こうしてこの企画が始まったのです。

小説の執筆とバンド・デシネの脚本の執筆はやはり大きく違うものでしょうか?

もちろんです! バンド・デシネの場合は絵のことを考えなければなりません。言葉による長い説明より視覚的要素を優先させなければなりません。私にとってはとても難しいことでしたが、とても意欲を刺激する仕事でもありました。

作画のレティシア・コリンさんとはどのような仕事の仕方をしたのでしょう? 共同制作は難しくはありませんでしたか?

私たちは一緒にモロッコを訪れました。彼女はいくつかのインタビューに同席しました。私がインタビューをしているあいだ、彼女はその様子をクロッキーに収めていたんです。風景を自分の身に沁み込ませるために、通りでも写真をたくさん撮っていましたね。彼女はこの企画が立ち上がった瞬間から、私と一緒に戦ってくれていたんです。

レイラさんにとってバンド・デシネ(あるいはグラフィックノベル)の魅力とはなんでしょう?

簡単に読めるということ、そして具象化されていることでしょうか。登場人物に顔を与えることができますし、場所も視覚化できます。その結果、とても強い実在感が出ます。

幼い頃にバンド・デシネをお読みになりましたか? モロッコにもバンド・デシネはあったのでしょうか?

子供の頃はほとんどバンド・デシネを読みませんでした。当時モロッコのバンド・デシネはなかったと思います。ちょうど今さまざまなものが生まれているところです。若い人たちの中にはとても才能のあるバンド・デシネ作家が増えてきていますよ。その中には女性も多いんです!

今現在バンド・デシネを日常的に読んでいらっしゃいますか?

正直なところほとんど読んでいません。

最後に今後の予定をお教えください。今後またバンド・デシネの原作を手がける予定はおありでしょうか?

ぜひやってみたいですね。今のところ次の小説の執筆でとても忙しく、具体的な予定はありませんが、ないとも限りません。


レイラ・スリマニさんの作品では、小説『ヌヌ 完璧なベビーシッター』が邦訳されています。

レイラ・スリマニ『ヌヌ 完璧なベビーシッター』(松本百合子訳、集英社、2018年)

レイラ・スリマニさん関連イベント:

日時:2018年11月20日(火)18:15-20:15
会場:早稲田大学
講演会「フランス語から世界へ – フランコフォニー担当フランス大統領個人代表、レイラ・スリマニを囲んで

日時:2018年11月21日(水)13:30-15:00
会場:仙台アリアンス・フランセーズ
トーク:レイラ・スリマニを囲んで

日時:2018年11月21日(水)17:00-19:00
会場:東北大学
講演会:レイラ・スリマニを囲んで

日時:2018年11月22(木)14:40-16:10
会場:関西大学
演会:レイラ・スリマニを迎えて

日時:2018年11月24(土)18:00-20:30
会場:アンスティチュ・フランセ東京
対談:レイラ・スリマニ&桐野夏生

日時:2018年11月26(月)17:00-18:30
会場:長崎外国語大学
レイラ・スリマニを迎えて

About Author

原 正人

1974年静岡県生まれ。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳者。訳書にバスティアン・ヴィヴェス『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)、マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン&ケラスコエット『かわいい闇』(河出書房新社)など。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」主宰。もちろん日本のマンガも大好き。

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