【レポート】世界のマンガについてゆるーく考える会 #13

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日時:2018年10月22日(月) 19時から21時(18時30分開場)
場所:東京都文京区小石川4-14-12 共同印刷本社101ホール
参加者:約40名

通算13回目、今年に入ってから4回目の「世界のマンガについてゆるーく考える会」です。最近は2~3カ月に一回という頻度が定着していて、今年2018年は今回が最後となります。

19時過ぎにスタート。代表の原の挨拶に続いて、コミックカタパルトの平柳竜樹さんが台湾で毎年行われている台湾マンガを対象とした賞「金漫奨(Golden Comic Awards)」について紹介してくれました。今年は第9回目に当たり、その授賞式が10月2日(火)に台北市内で行われたとのこと。

金漫奨(Golden Comic Awards)」を紹介する平柳さん

少年マンガ、少女マンガ、青年マンガなど部門別に各賞が設けられ、少年マンガ部門ではコミックカタパルトから電子版の翻訳が出版されている『冥戦録(めいせんろく)』が、跨域應用(クロスメディア展開)部門ではやはりコミックカタパルトから翻訳が出ている『龍泉侠と謎霧人―台湾布袋劇伝説―』が、それぞれ受賞しています。

韋宗成(ウェイ・ゾンチェン)『冥戦録(めいせんろく)』

Hambuck『龍泉侠と謎霧人―台湾布袋劇伝説―』

面白いのが今回は惜しくも跨域應用部門の受賞を逃した『北城百畫帖2』。あいにく未邦訳ですが、作者のAKRUさんは昨年の海外マンガフェスタで来日されたので、ご存じの方もいるかもしれません。この作品は1920~30年代の台北のとある喫茶店を舞台にしたファンタジー作品ですが、その喫茶店の誕生を語る実写映像が作られているそうです。もしかしたらいずれ映画化なんてことがあるのかもしれません。映像はこちら↓

《北城百畫帖》影視版前導片花

「金漫奨(Golden Comic Awards)」では各部門賞の他に「年度漫畫大獎」という年間ベスト的な作品も選ばれるそうで、今年は『1661國姓來襲』という作品が受賞しました。これは17世紀後半に台湾をオランダ東インド会社の支配から解放し、台湾の礎を築いた鄭成功(ていせいこう)の活躍を描いた歴史活劇で、ド迫力の画面が実に印象的な作品です。

李隆杰『1661國姓來襲』

なお、「金漫奨(Golden Comic Awards)」については、11月に北九州と東京で行われる海外マンガフェスタで紹介されるそうです。海外マンガを訪れる方はぜひのぞいてみてください。

続いて、今回たまたま会に参加してくれたフランス人マンガ家のトマ・ブーヴェレ(Thomas Bouveret)さんが、ご自身のお仕事を紹介してくれました。

トマ・ブーヴェレ(Thomas Bouveret)さん

トマさんはなんとアニメ『太陽の子エステバン』のコミカライズ(Les Mystérieuses cités d’or, T1-5, Kazé Manga, 2013-2015)のお仕事をされているとのこと。現在は次回作に向けて鋭意準備中だそうです。

『太陽の子エステバン』のコミカライズ(Les Mystérieuses cités d’or, T1, Kazé Manga, 2013)

お次は事前申し込み時に募った質問をみんなで解決しようのコーナー。今回も、「海外マンガの現地での価格は?」、「海外マンガのどこが面白い?」、「翻訳の難しさは?」、「海外マンガの入手法は?」などさまざまな質問をお寄せいただき、それに対して参加者の皆さんからご意見をいただきました。「マンガの中の時間の経過について」、「いろんあ国のマンガの歴史や現状について」など、その場で答えるのが難しい質問もあったので、それらについては可能な範囲でいずれComic Streetで取り上げたいと思います。また質問コーナーの流れで、スペイン語のコミックスをいろいろと持ってきてくださったスペイン語翻訳者の宇野和美さんに、スペインや南米の作品をいろいろとご紹介いただきました。パコ・ロカなどを除けば、日本ではあまり知られているとは言い難いスペイン語圏のコミックスですが、面白い作品がいろいろありそうです。

20時15分ごろにいったん休憩。15分ほど閲覧タイムを設けました。

当日集まった世界のさまざまなマンガ1

当日集まった世界のさまざまなマンガ2

当日集まった世界のさまざまなマンガ3

当日集まった世界のさまざまなマンガ4

閲覧タイムの様子。今回も多くの方が参加してくださいました

20時30分頃から後半再開。例によって持ってきていただいた本のプレゼンコーナーです。今回は3人の方が本を紹介してくれました。

ピエール・デュバの作品(Pierre Duba, L’Absente, 6 Pieds Sous Terre, 1999)

ピエール・デュバの別の作品と彼に影響を与えたと思しいボードァンの『旅』
(Pierre Duba, Quelqu’un va venir, 6 Pieds Sous Terre, 2002)

犬を主人公にした骨太の西部劇。
Lisa Hanawalt, Coyote Doggirl, Drawn and Quarterly, 2018

魔法のノートを手に入れた少女の友達作りを描いたユーモラスでかわいい作品。
Kristen Gudsnuk, Making Friends, Graphix, 2018

ボードァン『旅』と講談社が『モーニング』、『アフタヌーン』のアメリカ向けプロモーションのために作り、1996年のサンディエゴ・コミコンで無料配布したという冊子『Manga Surprise!』

『Manga Surprise!』中面。右ページはポール・ポープ(Paul Pope)の作品

21時10分頃にすべての発表が終了。その後、いくつか告知があり、さらに10分程度閲覧タイムを設け、「世界のマンガについてゆるーく考える会#13」は終了となりました。

次回「世界のマンガについてゆるーく考える会#14」は、2019年1月頃に開催できたらと考えています。正式に決まり次第、改めて告知しますね。「世界のマンガについてゆるーく考える会」は、未参加の方や海外マンガ初心者の方大歓迎のイベントですので、ぜひ気軽にご参加ください。

About Author

原 正人

1974年静岡県生まれ。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳者。訳書にバスティアン・ヴィヴェス『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)、マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン&ケラスコエット『かわいい闇』(河出書房新社)など。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」主宰。もちろん日本のマンガも大好き。

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