第2回小西財団漫画翻訳賞発表

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1月24日(木)から27日(日)にかけて行われたアングレーム国際漫画フェスティバル2019の各賞については既にご紹介しましたが、同フェスティバルでは「小西財団漫画翻訳賞」の第2回受賞者の発表も併せて行われました。

小西財団漫画翻訳賞は、1983年の設立以来日仏交流事業に積極的に取り組み、日仏翻訳文学賞の運営も行っている小西国際交流財団が、日本のマンガの仏訳を対象に昨2018年に新設した賞。フランス語圏では、主に2000年以降、毎年非常に多くの日本マンガの翻訳が出版されています。その広がりを日本側から支えるという意味でも、普段なかなか日の目を見ないマンガの翻訳者にスポットライトを当てるという意味でも、同賞はとても意義のある賞と言えるでしょう。同賞については日本語で書かれた記事があまりないのですが、詳しくは「メディア芸術カレントコンテンツ」の以下の記事を読んでみてください。

第1回小西財団漫画翻訳賞に『ゴールデンカムイ』の翻訳者セバスチャン・リュドマン氏

第1回の発表も昨2018年のアングレーム国際漫画フェスティバルで行われ、初代グランプリには日本在住のフランス人翻訳家セバスチャン・リュドマンさんが選ばれました。リュドマンさんにはこのComic Streetでインタビューをしていますので、そちらもぜひ読んでみてください。

海外マンガの人々―セバスチャン・リュドマンさんインタビュー

小西財団漫画翻訳賞の対象は「過去2年間(当該年の9月30日まで)に出版された」マンガの仏訳。膨大な作品の中から10のノミネート作が選ばれ、選考委員の審査を経て、グランプリが決定します。

今年のノミネート作は以下の通り。

少年マンガから青年マンガ、男性向けから女性向け、古典からここ数年の最新作まで、幅広い作品とそれを翻訳した熟練の翻訳者たちがノミネートされています。

これらの作品および翻訳者の中から栄えある第2回小西財団漫画翻訳賞グランプリに選ばれたのは、浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を翻訳した日本在住のフランス人翻訳家ティボー・デビエフ(Thibaud Desbief)さんです。同作のフランス語版はKana(カナ)社から2019年1月末現在第6巻まで刊行中。

浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』とティボー・デビエフさんの第2回小西財団漫画翻訳賞グランプリ 受賞を報ずる小西財団漫画翻訳賞サイトの記事はこちら(フランス語)。

今回の審査では、マンガそのものが優れていた点はもちろん、作中に登場する饒舌な言葉が訳者のデビエフさんによって見事に翻訳されていた点が評価されました。とりわけ主人公たちの若者言葉は同年代のフランスの若者たちの言葉に違和感なく置き換えられているそうです。

授賞式はアングレーム国際漫画フェスティバル期間中の1月25日(金)に行われ、その後、受賞者のティボー・デビエフさん、第1回グランプリのセバスチャン・リュドマン、マンガの翻訳家として著名なミヤコ・スロコンブ(Miyako Slocombe)さん、オレリアン・エスタジェ(Aurélien Estager)さんを交えたラウンドテーブルも行われたとのこと。どんな話がなされたのかとても気になります。

なお、受賞者のティボー・デビエフさんは、白水社から刊行されている雑誌『ふらんす』2019年1月号「特集:漫画!マンガ!MANGA!」に、「フランスにおける漫画翻訳小史」という文章を寄せています。興味がある方はぜひ読んでみてください。

次回第3回小西財団漫画翻訳賞ではどんな作品、どんな翻訳者が受賞するのでしょうか? 今から楽しみです。


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About Author

原 正人

1974年静岡県生まれ。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳者。訳書にバスティアン・ヴィヴェス『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)、マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン&ケラスコエット『かわいい闇』(河出書房新社)など。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」主宰。もちろん日本のマンガも大好き。

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