「海外マンガフェスタ2017」レポート(3)

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茨城大学人文社会科学部「視覚表現論(H29)」(担当教員:猪俣紀子)を受講する大学生チームがお送りする「海外マンガフェスタ2017」レポート。第3弾となる今回は、マンガ系の大学や専門学校が出展するManga Schoolエリア、フランスの出版社による持ち込み受け付けエリア、メインステージで行われた望月ミネタロウ氏とブライアン・リー・オマリー氏のトークライブについてお伝えしていきます。

緑で囲んだ箇所がManga Schoolエリア。
赤で囲んだ箇所がフランスの出版社による
持ち込み受け付けエリア

まずは、Manga Schoolエリアについて紹介します。こちらでは、マンガやアニメ、イラストなどを学ぶことができる大学や専門学校が出展しています。今回出展していたのは、以下の6校。

・大阪総合デザイン専門学校
・文星芸術大学
・東京工芸大学
・専門学校日本デザイナー学院
・日本アニメ・マンガ専門学校
・国際アート&デザイン大学校

各校の卒業生や在校生の作品、輩出したプロ作家の単行本などが並び、どの学校のブースも盛況でした。筆者は開会直後にブースを巡り、一部の学校の担当者にお話を伺うことができました。

Manga Schoolエリア

最初にお話を伺ったのは東京工芸大学。写真、映像、デザイン、インタラクティブメディア、アニメーション、ゲーム、マンガという7つの学科を持つ芸術学部があり、その中のマンガ学科が出展していました。出展は2年目で、海外マンガフェスタに出展する目的は、主に大学の告知と海外との交流とのこと。そのため、学校のパンフレットや入試に必要な書類も用意されていて、気になった方はすぐに資料が手に入れられるようになっていました。

東京工芸大学のブース

また、パネルでカリキュラムや学校の歴史を一目で知ることもできます。さらに、机の上には学生の卒業制作をまとめた冊子がズラリ。マンガ学科の中でもストーリーマンガを専攻している学生は、卒業制作で読み切りを丸々一本仕上げるのだそう。どれもハイクオリティで、この学校でどれだけのことが学べるのか一目瞭然でした。この学科ではストーリーマンガ以外にも、キャラクターイラストやカートゥーン、出版編集などを専攻することもできます。

机の上に並べられた学生の卒業制作をまとめた冊子

次にお話を伺ったのは、文星芸術大学です。こちらは宇都宮の私立大学で、マンガ専攻が出展していました。告知パンフレットや卒業制作の冊子に加えて、プロ作家の作品が展示されていました。『リィンカーネーションの花弁』(マッグガーデン)の小西幹久先生を筆頭に、卒業後もしくは在学中にプロデビューをした作家が多数いるそうです。一度は読んだこと、聞いたことがある作品もあるかもしれません。また、学生の一枚絵も展示されており、楽しく拝見しました。

文星芸術大学のブース

直接お話を伺うことができなかった学校もありましたが、パンフレットを頒布したり、卒業生の作品を通して学校紹介をしたり、お客さんと交流を行ったり、どのブースも賑わっていました。

次に筆者が向かったのは、海外マンガフェスタにおいて今回初の試みであるフランスの出版社による持ち込み受け付けエリアです。このエリアでは、フランスの3つの出版社Kana(カナ:カナの編集者クリステル・ウーランスさんのインタビューはこちら)、Ki-oon(キ=ウーン)、Glénat(グレナ)の編集者に自作のマンガをその場で見てもらい、アドバイスをもらうことができます。

フランスの出版社による持ち込み受け付けエリア

編集者と実際に話ができる貴重な機会ということから、各出版社とも人が絶えることなく、次々と作品が持ち込まれていました。国内の作家のみならず、なかには海外の作家の姿も見られました。

13時になり、メインステージでは『ドラゴンヘッド』や『ちいさこべえ』などの作品で知られるマンガ家の望月ミネタロウ氏と、アメリカで活躍し、『スコット・ピルグリム』シリーズの邦訳でも知られる、カナダ出身のコミックス作家ブライアン・リー・オマリー氏によるトークライブが始まりました。

まず、望月氏が海外のマンガを読むようになったきっかけについて問われると、地元横浜で購読していたアメリカの雑誌『ヘビーメタル』の影響を受けたことを挙げ、その延長で十代の頃からバンド・デシネにも親しんでいたことを語りました。

一方、オマリー氏は好きな日本マンガとして『らんま1/2』を挙げました。高橋留美子作品には多大な影響を受けたそうです。「『らんま1/2』は1巻と2巻が見つからなかったため3巻から読み、何が起こっているのか正直よくわからなかった」というエピソードは会場の笑いを誘いました。他にも手塚治虫作品や『ドラゴンヘッド』を愛読していたそうです。

ブライアン・リー・オマリー氏

両氏のパーソナリティが少しずつ明らかになっていく中、キャリアの話に入ると対談は更なる盛り上がりを見せます。

作家歴30年を超える望月氏は『東京怪童』(2009)を機に今のペンネームに改名しました(それ以前は「望月峯太郎」名義)。そのきっかけについて、「もともとはストーリー重視の作品を描いていたが、『東京怪童』からは登場人物のパーソナルな部分に重点を置くようになり、絵のタッチも背景を細かく描き込むものから必要な線だけを選んで描くものにスタイルを変えた。その際、一度自らの作家人生を見つめなおした上で、それらをリセットするという意味を込めて改名した」と語りました。

続いてオマリー氏には、書き下ろしのコミックスを発売するにあたり、どれくらいのペースで執筆を行うのか、という質問が寄せられました。これに対しオマリー氏は、1巻に対して一度に160ページもの原稿をまとめて提出するのだと明かし、会場では驚きの声が上がりました。内容面でのこだわりとしては、他作品を読んで「自分だったらこうするのに」と感じた点を反映することを挙げました。また、日本のマンガを意識して巻末には必ず急展開を用意し、次巻への期待を膨らませるのだそうです。

両氏の作品へのこだわりが垣間見えたところでトークライブはエンディングを迎え、望月氏は2018年より新連載が始まることを発表し、オマリー氏はしばらく東京に滞在し、各種イベントに出演したり、観光を楽しむ予定だと語りました。今回のトークはただ両氏のキャリアを辿るだけにとどまらず、作品へのこだわりや影響を受けた作品へのリスペクトに溢れるものとなりました。

Manga Schoolエリア、仏出版社持ち込みエリア、トークライブと3つのプログラムを横断的に取材したことで、「海外マンガ」を通じ、マンガの多様なあり方に触れるという貴重な経験をすることができました。

(執筆:SO、SS、DS、KH、HT)


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About Author

茨城大学「視覚表現論(H30)」

茨城大学人文社会科学部の開講する平成30年度「視覚表現論」(担当教員:猪俣紀子)の受講生。3、4年生29名。バンド・デシネ作品の邦訳作品を読んで発表するなど、授業の中で海外マンガを取り扱っている。

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