「海外マンガフェスタ2017」レポート(1)

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2017年11月23日(木・祝)、東京ビッグサイト(江東区有明)で行われたコミティア122内で「海外マンガフェスタ2017」が開催されました。

海外マンガフェスタとは、世界のマンガを日本国内で紹介するイベントです。2012年11月18日に7ヵ国の大使館や文化センター、海外の出版社やイベント運営団体、国内外の漫画家などの協力によって初めて開催されました。今年で6度目の開催となっています。

このイベントでは、日本の“マンガ”、フランス語圏の“バンド・デシネ”、アメリカの“アメリカン・コミックス”など、世界中のマンガが一堂に会しています。公式サイトでは、「作家やファン、出版社などMANGAを愛する世界の人々が交流できる場となるべく、米国のコミコン・インターナショナルやフランスのアングレーム国際漫画祭をお手本に毎年続けて参りたいと考えております」と言及されています。

東京ビッグサイト内、看板に従って会場に向かう。
ワクワク!

毎年多くの海外作家や出版社が出展し、作品の展示やライブドローイング、トークイベントを行っています。また、今年はフランスの出版社3社(KANA、Ki-oon、Glénat)への作品持ち込み受け付けや、企業協力のもと最新型PCを使用した体験型イベントが行われました。そして、今年のアーティストアレイには52のブースが並び、多くの来場者で盛り上がっていました。また、このほかに日本の大学、専門学校が参加するマンガスクールブースでは、学生の作品展示や個別相談なども行われていました。

このように様々なコンテンツがギュッと詰め込まれた海外マンガフェスタ。茨城大学人文社会科学部で「視覚表現論」(担当教員:猪俣紀子)を受講する大学生チームが各ブースをじっくり見て回り、それぞれの魅力を体感してきたので、それを5回に分けてお伝えしていこうと思います!

海外マンガフェスタ全体の様子

第1回目の今回は「DAIV × DNP FUN’S PROJECT COLLEGE」による体験型イベントについて紹介していきます。ここではマウスコンピューターのクリエイター向けPCブランドDAIVとワコムのタブレットを用いて、デジタルでイラストを描く体験ができます。様々なゲストを招き、イラストの上手な描き方を教わったり、自分の画力を試したりしつつ、両社の製品に触れることができる機会になっています。

会場に設置された液晶タブレット(左)とパソコン(右)

「DAIV × DNP FUN’S PROJECT COLLEGE」主催のワークショップのラインナップは以下の通りです。

11:30-11:50 FUN’S PROJECT COLLEGE紹介
12:00-12:50 アメコミリーグin海外マンガフェスタ「新旧PCベンチマーク対決」
13:00-13:50 シバタヒカリ 「可愛い女の子の描き方講座」
14:00-14:50 ライアン・ベンジャミン 「アメコミヒーローの描き方講座」
15:00-15:50 スティーブ・マギャリー/リーク・マギャリー「ライブペインティング親子対決」

【デジタルで楽しくペイント体験! 新旧PCベンチマーク対決】

筆者は、ゲストに漫画家のシバタヒカリ先生を招いての「新旧PCベンチマーク対決」に参加しました。シバタ先生は2011年からマンガ家として活躍しており、主要作品には『ナツメくんなんか好きじゃない』(ソルマーレ編集部)があります。

用意されたパソコン分16人が定員。参加者は20代から40代、男女比はやや男性が多かったように思います。司会は芸人の、御茶ノ水男子 おもしろ佐藤さん(なんと元アニメーターだとか)とバッファロー吾郎 竹若さん。序盤の製品紹介を「長いわ!」とイジりつつも、製品のテンポの良い司会で会場全体に笑いが生まれていました。おもしろ佐藤さんの「こういうのは百聞は一見に如かずですから、実際にやってみましょう!」という言葉で、いざ体験がスタート。ちなみに対決と銘打っている企画ですが、対決を行うのはシバタ先生と竹若さん。参加者は参加者同士で競うといった形でした。

我々の課題は、画面に表示された塗り絵を、ツールを使用してペイントすることでした。塗り絵はネズミか女の子キャラクター2種類のどちらかで、司会者の2人が描いてきたものだそう。周囲を見回すとタブレットを使いなせていなさそうな方もいれば、スルスル描き進めている方もいて、参加者の実力も幅広いようでした。塗り絵の時間は30分程度ですが、あっという間に感じられると思います。

作品発表では、まずシバタ先生の塗り絵がモニターに表示されました。黒と赤を基調に、ネズミをやんちゃなイメージで仕上げており、ご自身では背景にトーンを使って塗りつぶししたところがポイントとおっしゃっていました。その後に、参加者の塗り絵をおもしろ佐藤さんが見て優勝者を決定。ピンクを基調として塗り絵を完成させた女性が優勝しました。ペンタブを使用してみての感想は、「難しいけれど便利」。筆者は初歩程度しかできませんでしたが、気軽にタブレットに触れる機会なので、初心者の方にもぜひおススメしたいイベントです。

会場マップ。左側緑で囲んだ箇所が
「DAIV × DNP FUN’S PROJECT COLLEGE」スペース。
その上オレンジで囲んだ箇所が
「ペンタブレットdeアート投稿コンテスト」投票会場

【優勝で活躍のチャンス ペンタブレットdeアート投稿コンテスト】

ここで一旦「DAIV × DNP FUN’S PROJECT COLLEGE」スペースを離れ、そのすぐ隣で、ワコムと季刊エス・スモールエス編集部が共催する「ワコム×季刊エス・エススモール編集部 ペンタブレットde アート投稿コンテスト」の投票会場を紹介します。

公募サイトによると、開催は今回で11回目。ペンタブレットを使用した作品であれば、作品のジャンルや技法は問わず、誰でも気軽に応募が可能です。応募作品は全て印刷会社グラフィックよる高品質の出力で投票会場に発表されるので、細部まで作品を堪能できるとのことでした。入選作品は季刊エスに掲載され、優秀賞受賞者には、各賞品の他にメイキングの依頼や公開講座への登場、作品紹介ページの作成など、季刊エス・スモールエス編集部とワコムで作家活動をバックアップしていくそうです。実際にその場にいたスタッフの方に話を伺うと、優勝者には仕事の依頼があり、一昨年の優勝者の方は売れっ子になったと話してくれました。

実際に筆者も投票させていただきました。ひとり3票まで入れることができます。1000近い応募作品はどれも個性があって、色使いが綺麗で目移りしてしまいました。作品の一部をご覧ください。写真右のものは、筆者が投票した作品です。

「ペンタブレットdeアート投稿コンテスト 2017」作品投票展示会場

筆者が投票した作品

【人気作家から直接アメコミヒーローの生み出し方が学べるなんて…! 体験型ブース‐ライアン・ベンジャミン先生編‐】

再び体験ブースに戻ると、多くのコミックスを手掛けるライアン氏による「アメコミヒーローの描き方講座」が催されました。

ライアン・ベンジャミン先生のプロフィールはこちら

会場の周囲に立ち見客が集まるほど盛況なイベントです。

講座はライアン先生がバットマンを通してアメコミキャラクターの描き方を解説するという形で行われ、ライアン先生が話し、実演したことを通訳の方がわかりやすく日本語に直し会場の人々に伝えるというものでした。小さな子どもから大人まで幅広い参加者がいて、特に小学3年生ほどの子が一番前の席で食い入るように、ライアン先生のドローイングを見ていたのが印象に残っています。会場の雰囲気は大変良く、ライアン先生の実演に歓声があがりその技巧を再現しようと四苦八苦する参加者の姿が見える一方で、バットマンそっちのけでライアン先生の似顔絵をひたすら描いている参加者も。ライアン先生がぜひ見せてくれと頼むような和やかな場面も見ることができました。

描き方を学ぶ参加者。皆さん熱心!

今回学んだアメコミヒーローの書きかたポイントはこちら!

①立体物の組み合わせでデッサン
円柱や立柱から削り出していくイメージで描く。描き方が分からなくなったら、ここに戻って削り直すことを意識しているそう。

②パーツ毎に分けて書く
各パーツのイメージが大切。筋肉の隆起は、自分の体でそのポーズをとって、それをイメージする。ちなみにライアン先生は筋肉隆々。

③白黒の境目を決めて顔を描く
こうすることで立体感が出る。

④ひとつの色で塗りつぶし
できあがってきたら一つの色を使って色付けしていく。全てレイヤー分けして作業することで、修正が容易になるとのこと。

⑤グラデーションを付ける
ここまでで使用した色をベースにグラデーションを付けていくことで完成する。

素早くバットマンを描き上げるライアン先生

今回イベントで用いたソフトは普段ライアン先生が用いている設定とは違うため時間がかかるとのことでしたが、そうした差が素人目には全く分からないほど素早く綺麗に描き上げていました。

ライアン先生の講座に参加した女性に話をきいたところ、元々はこのような企画があるとは知らなかったが、プロのコミックアーティストから描き方を学べるということを聞いて参加を決めたそうです。普段からペンタブを使用しているということで、今回のイベントはタメになったし、普段描けないものを描いて楽しかった、と話してくれました。このような気軽に参加できそうな会場の雰囲気と参加者の和気あいあいとした様子は、このイベントの魅力だと感じました。

(執筆:HT、ST、AI、MM)


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茨城大学「視覚表現論(H30)」

茨城大学人文社会科学部の開講する平成30年度「視覚表現論」(担当教員:猪俣紀子)の受講生。3、4年生29名。バンド・デシネ作品の邦訳作品を読んで発表するなど、授業の中で海外マンガを取り扱っている。

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